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陶芸家の森の日々                      ~佐藤火圭(けい)ワールドへようこそ!

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作品紹介その3《砂礫化粧大鉢》(by佐藤けい)

きのうは男性4人で麦屋に飲みに行きました。
麦屋さんはさしみがいつもうまい。でもさしみというのは、料理であって料理でない料理ですね。
こういうものは、日本文化には多い。というより、特徴といっても良いかもしれません。
作品紹介その3《砂礫化粧大鉢》(by佐藤けい)_c0178008_15544371.jpg

きょうの作品《砂礫化粧大鉢》は、さしみに似ています。
日本文化の特徴に一つに、素材を大事にする、ということがあります。
素材感とでも言いましょうか、たとえば、木工は木目を生かした、拭き漆という技法がありますし、和紙なども素材感そのものです。着物も良い例で、あれは素材そのものを着る感があります。西洋の服はどんどん裁断して、形(フォルム)を強調しますが、日本の着物は、形は一定で、生地で楽しみます。
写真の大鉢は、形は平凡でなにもデザインをほどこしていませんが、素材が面白いのです。これは「原土」というのを使っています。普通焼き物を作るときは、細かい土を使います。それは掘ってきたそのままの土「原土」をフルイにかけて、石などを取り除いたものなのです。
この鉢は、あえて原土を使って造りました。ただし原土だけで作ると、水がザルのように漏ってしまいますので、細かい土で造って、その上から原土を手で塗りました。
それを灰被りの場所で焼いたので、コゲと自然釉でたいへん美しい作品に仕上がりました。これはフォルムはあえて平凡な形にし、素材の面白さを強調した作品です。だから「さしみ」といったのです。わたしが編み出した手法なので、こんなことをやっている人はいないでしょうね。
因みに直径は57cmです。
by sueki-k | 2008-10-11 16:57 | 作品紹介