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陶芸家の森の日々                      ~佐藤火圭(けい)ワールドへようこそ!

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雄土と雌土(byけい)

今、こんな季節にもかかわらず、土鍋を作っています。土鍋といっても、陶板とココットが主ですので、これは季節と関係ないかもしれません。ココットが今度サライで紹介されますので、今作っているのと、陶板は相変わらず注文が入っているので、とにかく1窯焼かなければなりません。
それできょうも土揉み&ロクロです。雄土と雌土(byけい)_c0178008_21553736.jpg
土揉みには2種類あります。荒揉みと菊揉みです。荒揉みは土を混ぜるもが目的で、菊揉みは土の中の空気を抜くのが目的です。
ところで土には2種類あります。「雄土(オヅチ)」と「雌土(メヅチ)」です。土の固さは言うまでもなく、手で触って判断します。でも実際に遭遇するのは、手で触ったときと、揉んだときに違うことです。手で触って判断したときより、実際に揉み始めると思ったより硬いことがあります。つまり揉んでゆくと硬くなる、これを「雄土」といいます。反対に揉んでゆくと柔らかくなる、これを「雌土」といいます。ちょっといやらしい感じですが、でも実際にあるのです。
今、土鍋の土を使っていますが、これは典型的な雌土です。最初の感触より、揉むと柔らかいのです。反対に磁器の土は、最初に思ったより実際に揉んでゆくと硬くて苦労します。
焼物の世界では「土揉み3年」といいます。また「一に土、二に焼き、三に造り」ともいいます。まずは土なのです。硬い石を削る石の芸術家と柔らかい土をこねる陶芸家では精神構造は随分違うでしょうね。前にも書きましたが人が仕事を作るのでなく、仕事が人を作るのです。
by sueki-k | 2009-06-07 22:16 | 焼物の専門的な話