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陶芸家の森の日々                      ~佐藤火圭(けい)ワールドへようこそ!

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苔の話(byけい)

以前、私は岩手県遠野市に住んでいました。20年くらい前、6年間ほどです。その時たまたま山野草展をしていて、その時印象に残った作品が2点ありました。一つは山芍薬、もう一つは雑木林の盆栽。雑木林といってもドングリの木(おそらくクヌギ)一種類が20本くらい植わっているだけですが、その時の苔がとてもきれいでした。それ以来、苔には何か憧れのようなものがあります。
ところで、私は8年くらい前から山野草を栽培していますが、苔は自然に生えてきます。写真は5,6年ほったらかしの鉢です。植わっているのはドングリの木です。
苔の話(byけい)_c0178008_16151542.jpg

最近苔玉がはやっていますが、苔は難しい。苔玉は苔が命です。ところが苔は結構誤解されていて皆さんすぐ駄目にしてしまいます。一般的に信じられているのは、苔はうっそうとした薄暗いジメジメしたところが好き、ということです。でもよく観察すると、苔は明るい所が好きです。またジメジメした所は嫌いです。
苔の生えている所は、石の上だったり、枯れ木の上だったりしますよね。こういう所は決して暗くはありません。また水が溜まるような所には生えません。
苔はとてもシャイな植物です。栄養たっぷりな土の上は競争が激しいから、他の植物が生えない石や枯れ木の上に生えるのです(そこは日当たりがいい)。ですから苔には根っこがありません。雨などから栄養をとります。根っこに見えるのは単に固定するためのものです。
こうして考えると、苔を美しく保つためには、明るい木影で、あまり水浸しにしないこと。でも空中湿度は高いほうがいいので、時々霧吹きで吹っかけることでしょうか。
苔を見ていると自分を見ているようです。シャイで、都会のような栄養たっぷりな所を避け、誰も住まない山中に住む。私は苔の生まれ変わりでしょうか。
by sueki-k | 2008-12-18 16:37 | 山野草