陶芸家の森の日々                      ~佐藤火圭(けい)ワールドへようこそ!

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奇跡のリンゴ(byけい)

雨が続いていますね。まるで梅雨に入ったような、うっとうしい日々です。
先週の個展の時に、たまたま本屋で「奇跡のリンゴ」(石川拓治著、幻冬舎、1300円)という本を見つけました。とても面白かったので、一気に読んでしまいました。これ超オススメです。友人に貸したら、「久しぶりに本を読んで泣いたよ」と言っていました。勿論私も泣きました。c0178008_17253940.jpg
木村秋則さんというリンゴ農家の話です。NHKの「プロフェッショナル」という番組で紹介されたらしいですね。
要は、木村さんが無農薬のリンゴに挑戦する話なのですが、それがすさまじいのです。5年も6年も収穫がなく、自殺寸前まで追い詰められ、そこから這い上がって行く話です。
今の世の中、どこかおかしい、それを目の前に突きつけられます。食べ物とは何か、という本質的な問題でもあります。私は自然の中に住んでいますから、木村さんの言うことが痛いほど解ります。自然界の木々も草も、農薬や肥料なしで元気に生きています。少しくらい虫に食われても、元気に生きています。土が健康的なら、農薬なしでも元気なのです。勿論野菜もそうです。
この話は、人間の体にも当てはまると感じました。人間の体も、良い食べ物を食べていれば、インフルエンザが入ってきても全然平気なはずです。
今年私の家の前の山に、ある人がペンションを始めますが、その人は「自然農法」をやりたいと言っています。肥料も農薬も使わない農法です。これはまさに、この奇跡のリンゴの野菜版です。どうなるかとても楽しみです。
因みに、木村さんのリンゴは超人気で、手に入らないらしいですね。
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by sueki-k | 2009-05-31 17:47 | 佐藤けいのエッセイ

養蚕始めます!(byめぐみ)

石田節子さんと一緒に絹の郷シンポジウムand現地見学会に行ってきました。
我が家の隣で体験工房を作りたいとおっしゃる石田さんに賛同し、まずは第一歩の勉強会となりました。
参加してみてびっくり。日本の養蚕業界は、まさに絶滅の危機に瀕しているのでした。
石田さんのやろうとしていることは、恐らく 養蚕業界を活気付けるために必要なこと、そしてもっと急いでやらなければならないのは、日本の生糸を守るということです。
今、日本で使われている絹は99パーセント外国産。国産の絹はほんのわずか。産業としての製糸業が消えてしまうのは時間の問題かもしれません。
このままでよいのでしょうか。私たちに出来ることは何でしょうか。考えずにはいられません。
石田さんは、農家と提携して国産の生糸でオリジナルの反物を造るシステムをすぐにでも作りたいとおっしゃっています。その行動のすばやさも石田さんの大きな魅力です。
着物は日本の文化です。それを日本で作れなくなるなんて悲しいことだと思いませんか?
昨日今日で、養蚕や製糸業、着物屋さんのこと、なんとか養蚕業を守ろうとする、群馬県庁の努力のことなど、少しずつ見えてきました。
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写真は日本で二つの製糸工場の一つ、碓氷製糸で、機械が繭から糸を挽いているところです。
この工場は採算が取れていないそうです。なんとも悲しい話です。養蚕農家もギリギリの収入しかありません。これでは誰も養蚕をやらなくなってしまいます。
どうすれば良いと思いますか。答えは簡単。みんなが国産の絹を買えば良いのです。外国産の絹を買わなければ良いのです。国産の絹があったほうが良いと思う人はそうすれば良いのです。
それだけで良いと思うのですが、事態は深刻ですからそう簡単にはいきません。
皆さん、どう思われますか・・・
明日は最終日。
座繰り器による糸繰り体験です。
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by sueki-k | 2009-05-30 23:59

工芸は使うもの(byけい)

一昨日の個展での話の続きです。
個展では様々な話がお客様との間で交わされます。その中で、お客様がこんなことを言いました。「徳利は3斗飲むと自分のものになる。」3斗というと30升ですか。つまり300合。1日1合で300日です。大雑把に言うと毎日少しずつ飲むと1年で自分のものになる、という感じでしょうか。自分のものになるというのはいろいろな言い方が出来ると思います。一人前になるでもいいし、完成するでもいいでしょう。
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写真は、今回の個展に出した徳利と馬上盃です。馬上盃というのは、ぐい飲みの一種で、馬に乗りながらでも飲めるように、高台が高く、持ちやすくなっています。
焼物は、使って育てるとも言います。また以前書いたように、「作る人半分、使う人半分」とも言います。使って変化を楽しむものなのですね。ぐい飲みも毎日使ってゆくと、少しずつ変化してゆきます。
焼物は「工芸」という分野に属します。音楽は聴いて鑑賞するもの、絵や彫刻は見て鑑賞するもの、食べ物は食べて鑑賞するもの、そして工芸は使って鑑賞するものです。食べ物を100年見ていてもその味は分からないでしょう。その意味で、焼物も見ているだけではその良さは判らないものです。たとえばご飯茶碗をいくら見ていても、何が良くてなにが悪いのかわからないでしょう。使ってみて初めていろいろなことが判ります。
以前私のご飯茶碗を買ってくれた人が、割れてしまったのでこの山まで来られたことがありました。その人は私のご飯茶碗を気に入って使っていたのですが、ある時割ってしまい、他の茶碗を買ったが、どうしても気に入らない、で、八王子から私の工房にわざわざ買いにきました。重さ、持ち具合、肌触り等がどうしても他のものではしっくり来なかったそうです。こういうの、作者冥利に尽きますね。
よく個展を見て「眼の保養になりました」という人がいますが、少なくともご飯茶碗は眼の保養にはなりませんね。使って楽しみましょう。
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by sueki-k | 2009-05-28 21:18 | 焼物の一般的な話

ヤマガラの雛(byけい)

きょう、木にかけた野鳥の巣を覗いてみました。というのも去年、5月にヤマガラとキセキレイが我が家に巣をかけて、雛をかえしたからです。去年の中旬の窯出しの前に、ヤマガラが外の棚に置いていた筒花瓶の中に卵を産みました。どうもそれがかえったらしく、頻繁にえさを運んでいました。その近くにキセキレイも雛をかえし、これも餌を運んでいました。その頃に窯出しがあったから大変です。餌を運べなくて、このままだと死んでしまうというので、皆でハエをとってあげました。すると7羽の雛は口を大きくあけてねだります。それがあまりにも可愛かったので、今年はちゃんと巣箱をかけました。そしてきょう初めて中を覗いてみました。そしたら・・・
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おー、いました、いました、暖かそうな苔のフトンに包まれて、6匹(7匹?)の雛がぐっすりと寝ていました。去年と違って、餌をねだらないのが残念ですが、でも可愛いですね。
あまり覗いていて、親鳥が怒るといけないので、すぐに遠くから見ることにしました。しばらくすると親鳥がやってきて、ビー、ビーと鳴きます。すると雛が、チー、チー、と答えるのです。多分こうです。「餌の時間だよ、みんな起きなさい!」「お母さん、お腹すいたよ」そして間もなく親鳥が中に入ってゆきます。
森のなかのドラマでした。
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by sueki-k | 2009-05-27 23:59 | その他

よくある質問(byけい)

やっと高島屋の個展が終わりました。前回は3年前でしたが、今回は前回と比べると来客の人数が少なかったように思います。インフルエンザの影響?やはり不景気の影響でしょう。高島屋全体のお客の数が少なく感じました。
きょうは2時から片付けで、早く帰ってきて、久しぶりに散歩したら、エビネが咲いていました。蘭科の植物は私はあまり栽培していませんが、このエビネは一昨年知り合いから頂きました。2株頂いたので2箇所に植えたら、1箇所は消えてしましました。でも他の1箇所は元気です。場所を選ぶのですね。
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個展をしていると様々な質問を受けます。それをいくつか書いてみましょう。
「薪は何を使っているのですか?」答え「赤松です。でも雑木を1~2割入れます。」
「何故赤松なのですか?」ブログを見てくださいと答えたいのですが、とりあえずこう答えます。「油っけが多いからです。」(去年の9月19日のブログに詳しく書いてあります)
「何日間焼くのですか?」答え「6日間です。」(20年前、この村に移ってきた頃は3日間でした。それが4日間になり5日間になり、最近は6日間です。その分焼きは良くなっています。その内7日間になる?)
「この色きれいですね」答え「これ、釉は何も掛けていません。造って、乾かして入れるだけ。薪で焼くと灰が飛んで、こんな美しい色になるのです。灰はもう熔けないと思うでしょう?ところが1200度くらいになると溶けてガラス状になるのです。不思議ですね。」
「これ、重なりが少し悪いですが・・・」答え「量産品は型で作るので、皆同じだから重なりが良いのです。これらは手づくりで、且つ少し歪めたりしているので、重なりが少し悪い。でもそれは利点と思ってください。」
「これ、思ったより軽いですね。」答え「それには秘密があります。」(面倒なのでそれ以上は答えません。皆さんは知っていますよね。知らない人は4月4日のブログをどうぞ)
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by sueki-k | 2009-05-26 20:13 | 焼物の一般的な話

葬式がありました(byけい)

山野草に「雪笹」というのがあります。高さ15cmくらいの可愛い花です。白いので「雪」、葉が笹のような感じなので「笹」、「ユキザサ」です。ところが私の家の側に「榛名雪笹」というのが自生しています。私が住んでいる榛名山しか生えていない、というので「ハルナユキザサ」です。雪笹の大型種で40cmくらいあります。珍しいので他県から採りにくるフトドキモノがいます。今、これを保護し増やそうと思っています。
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それはそうと、きょうお葬式(お通夜)があり行ってきました。
昨年の12月10日に「尊敬する人いますか」というテーマでブログを書きました。その、私が尊敬する3人の人うちの一人に大須賀克人先生がいます。その奥さんが亡くなったのです。大須賀先生も昨年秋に亡くなったので、後を追うように逝った感じです。
大須賀先生は指圧師で、私の友人のお父さんです。浪人中から大学生にかけて随分世話になりました。月に一度くらいお邪魔していろいろなことを教わりました。特にお酒の飲み方は後々まで役に立ったと思います。例えば、お酒は一気に飲まないで、口に含んで味わってから飲みなさいとか、ちょっと酔ったなと思ったらトイレに行きなさいとか、学校では教えてくれないことをたくさん学びました。そういう意味で私は「大須賀塾」の塾生ということになります。「大須賀塾」からは何人もの逸材が出ています。大須賀先生は決してお金持ちではありませんでしたが、世の中に間接的に影響を与えています。なにしろ私自身、大須賀先生の教え子ですからね。そしてきょうの葬式の大須賀麗子夫人は、それをしっかり支えた人でした。麗子夫人の作ってくれたトンカツの美味しかったこと!今でもはっきりと覚えています。本当にありがとうございました。合掌。
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by sueki-k | 2009-05-25 23:20 | 私の出会った人々

ピンチヒッターです。(byめぐみ)

佐藤は、高島屋に在廊した後 友人と飲みに行くことになりました。
今日のブログは、ピンチヒッターで私が書きます。久しぶりに猫のノリの写真です。コピー機の上で寝ているところにカメラを向けると、めんどくさそうに、それでもちゃんとポーズをとりました。
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こんな素敵なレディーになりました!ネームカードの写真と比べると成長振りがよく判ります。
もうじき10ヶ月ですが、高校生くらいの感じでしょうか・・・最近食欲旺盛で、もしや赤ちゃん?とも思いましたが、女子高生なら無理も無いですよね。もう暫く成長しそうです。
明日は、ここから車で10分ほどの「東善寺」というお寺でお祭があります。
東善寺は、小栗上野介ゆかりのお寺で、毎年この時期に 境内と倉渕中央小学校を会場に「小栗まつり」が催されています。午前中は史跡めぐり、記念演奏会、午後は墓前祭、講演会、昼市と盛りだくさんです。
佐藤烓工房は昼市に出展するので、今日はその準備です。
朝11時ごろから始まります。
皆さん是非遊びにいらしてください。
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by sueki-k | 2009-05-23 20:42

我が家の清流(byめぐみ)

一昨日から夫の個展が始まり、昼間は留守番の日々です。
結婚したばかりのときは寂しくて嫌いだった留守番も、「亭主元気で留守が良い!」の域になってまいりました。結婚生活が落ち着いた証拠 ということにしておきましょう!めでたし めでたし。
留守中にやらなければならない仕事もたくさんあるのですが、マイペースでこなせばよいのでとっても気楽です。御飯の支度も、超ラクチン。今晩は、生みたて卵掛けご飯です♥
ここへ来る前は一人暮らし、こんなに自由にやってたのね・・・という感じです。
こちらへ来てからどうも疲れやすく、すぐ体調を崩しているのは、やっぱりストレスからだったのかしら。10年も経つ頃には、すっかり馴れていることでしょう。
天気予報は雨だったけど、午前中は日差しが見えました。犬たちと川までお散歩。ここは上流に人家の無い清流です。手ですくって水を飲んだり、ぼーっと流れを眺めたり、心を清められる場所です。今日は私も裸足になって、犬たちみたいに水の中をジャブジャブ。冷たくて良い気持ちです。
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こんな清流が庭にあるなんて夢みたいですよね。
どんな豪華な庭園にも負けてません。
正確には、お隣さんとの「境界の川」なんですけどね。
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by sueki-k | 2009-05-22 21:12

穴窯のモダン(byけい)

きょうは個展2日目です。このブログを見て、来てくれた人がいました。
タイトルは「穴窯のモダン・佐藤火圭作陶展」です。このモダンについて書きます。
焼き物は伝統工芸ですので、古いものの写しがあります。伊賀の名品の水差しで、「破れ袋」というのがあります。水差しの下のほうが破れていて、そこを金継ぎして、茶人が「破れ袋」と名づけました。これは力強くすばらしい作品です。普通は廃棄するものを、そこに美を見出して救い出すとはたいした審美眼です。でも、今の陶芸家が、それをそっくり真似して作るとなると、これはいただけませんね。
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名品は常にモダンである、というのが私の考えです。桃山時代には桃山時代のモダンがあります。江戸時代にも明治にもそれはあります。破れ袋も、その当時の人たちの度肝を抜くモダンだったのではないでしょうか。
音楽の世界にもそれはあります。私のピアノの先生の話では、たとえばベートーベンは当時の最先端を行っていた人だったということです。確かにそれまでの音楽と比べると、とても感情的で、当時はびっくりしたでしょう。それが今は名曲として聴かれているわけです。
現代でもそれは同じ。現代の名品も今のモダンでなければいけないと思っています。
私はせっかく陶芸をしているのだし、名品を造りたい。そこで「穴窯のモダン」というタイトルとなるわけです。
コンセプトは《古代の焼き物・須恵器の技法を使って、今に生きるモダンな作品造り》とでも言いましょうか。
特に東京のお客さんなどはマンション住まいの人が多い。そういうところに持って行っても違和感のないものを造りたいと考えています。
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by sueki-k | 2009-05-21 14:53 | 佐藤けいのエッセイ

須恵器の本質(byけい)

きょうから高崎高島屋で個展が始まりました。
きょうのブログは会場風景を写すつもりでしたが、カメラを忘れていきました。なので、それは明日にします。
きょうの話は須恵器の最も大事で、難しい話です。化学が苦手な人は、ややこしいかもしれませんが、出来るだけ易しく話しますので、お読みください。
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須恵器を一言でいうと「焼き締め&燻す」でした。この燻すというのがもっとも大きな特徴です。
写真の右が須恵器で、これは燻しています。まったく同じ土で、燻していない(それが一般的)ものが左です。備前焼、信楽焼きは左に属します。ご覧のように左の燻していないものは赤みがかっています。右はモノクロに近く、赤みがかっていません。これは鉄分が関係しています。赤みがかるのは酸化第2鉄、即ち鉄さびの色です。鉄さびは赤いですよね。それを燻すと化学変化を起こして、酸素が取れてしまい、モノクロになるのです。
実際にはどうするかというと、火を止めるときに薪をたくさん放り込み、煙突を遮断してしまうのです。すると中の煙は逃げ場を失い、窯の隙間から噴出します。それを予め練っておいた粘土で塞ぐのです。30分くらいその格闘は続きます。
窯の中に煙が充満すると、窯の中には一酸化炭素が出来ます。一酸化炭素はとても不安定な物質で、酸素と結合して二酸化炭素になろうとします。その時に窯の中のあらゆる酸素と結合するのです。つまり酸化第二鉄の酸素と結合し、その結果鉄さび色が消えるという訳です。ある時ホームセンターから赤レンガを買ってきてうちの窯に入れたら、赤みが取れて、灰黒色のレンガができました。(一酸化炭素中毒が危険なのは、肺に入り血液中の酸素を奪うからです。)
かくして、石のような焼物・須恵器ができあがるという訳です。
きょうはちょっと難しい、でも最も大事な話でした。明日はカメラを忘れないようにします。
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by sueki-k | 2009-05-20 21:59 | 須恵器の話