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陶芸家の森の日々                      ~佐藤火圭(けい)ワールドへようこそ!

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人はみな怪物を背負っている(byけい)

私は最初、北海道大学に入り、焼き物に出会って北大は中退、その後京都工芸繊維大学に入りました。その工繊で出会ったのが、フランス語の阿部哲三先生でした。工繊時代、私はフランス語ばかりしていました。先生は授業だけでなく、放課後「輪読」といってフランス語の原典を読む会もやっていました。私はその会(いくつかあってその殆ど)に出ていました。そういう訳で私の工繊時代はフランス語一色でした。写真はその時のノートの一部です。一番上の本はモーリアックの「愛の砂漠」、その下の青いノートはそれを全部手書きで写したものです。
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その時読んだ中に、「パリの憂鬱」(ボードレール)という散文詩集があります。その中の一つ「CHACAN SA SIMERE」というのが印象に残っています。綴りは間違っているかもしれません。英語に直すと「Earch his CHIMERE」。シメール(CHIMERE)というのはギリシア神話に出てくる怪物です。《人はみなそれぞれシメールという怪物を背負っている》という詩です。
そうです。私もあなたもみな怪物を背負って生きているのです。これは「業」と訳してもいいかもしれません。私は特に大きな怪物を背負って生きている気がします。
ところで判らないのはボードレールです。彼はこの詩の最後で、「私の怪物はindifference(無関心)だ。」というのです。無関心が怪物?うーむ、詩人というのは解らないことを言うものだ。いまだに理解できていません。どなたかお解かりでしょうか。
by sueki-k | 2009-01-29 23:38 | その他