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陶芸家の森の日々                      ~佐藤火圭(けい)ワールドへようこそ!

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続・高台の話(byけい)

12月20日に、高台の話をしました。きょうはその続編です。
高台にはいろいろあって、きょうの写真はその代表的なものです。
左から「竹の節高台」、「碁笥高台」、「高杯」です。
「竹の節高台」は竹の節のようになっているので、こう名づけられました。
「碁笥高台」碁笥これはゴケと読みます。碁をやるときに碁石を入れる入れ物を、「碁笥」といいます。これの高台は写真のように、一見高台がありません。これを「碁笥高台」と呼びます。
「高杯」これは「コウハイ」ではありません。「タカツキ」と読みます。こういう高い高台を、高杯といいます。
続・高台の話(byけい)_c0178008_21263948.jpg

ところで高台の役割は何だと思いますか?
ずっと前の話ですが、NHKのクイズ番組で、鈴木健二司会のがありました。「百万人のクイズ」でしたっけ。その時の質問で「高台は何のためにある」というのがありました。いろいろな人が答えたあと、正解は「歪まない為」というものでした。
私は丁度その頃、高台について考えていたので、「いや、それはほんの一部だ」と思いました。
高台の役割はたくさんあります。ちょっと列挙してみましょう。
1)クイズの正解のように、歪まない為というのはあります。例えば30cmのお皿を焼く時に、高台がないとそれを載せている板(棚板といいます)のとおりに歪みます。棚板はほぼ平らですが完全に平らという訳ではないからです。
2)高台がないと重くなり易い。碁笥は木でできているからいいのですが、構造的に碁笥底は重くなり易い。つまり余分な土が付きやすいのです。
3)乾燥の時に、キズがき易い。これは2)に関連しますが、全体が均一でないと乾燥のときにキズがきます。高台があるほうが均一なのでキズがき難い。
4)釉を掛けるときに、持ちやすい。釉を掛けるときに高台を指で持って掛けます。このとき碁笥底は持ちにくい。
5)釉が熔けて流れるとき、高台で止まり易い。写真の左は、自然釉が熔けて流れて、高台で止まっています。これは結構大事な役割です。
6)見た目の美的な役割。これは高杯が一番顕著です。高い高台はむしろ使うに不便です。でも考えてみてください。食器は結構フラットです。そういうところに高杯のような背の高い食器がくると、美的に有効です。
ざっと上げましたが、これ以外にもっとあるかもしれません。かくの如く高台には役割があります。これからちょっと注意してみてください。
by sueki-k | 2008-12-28 22:01 | 作陶